朝日新聞【東京都心面】2012年9月6日木曜日掲載
9月8日におこなわれる、
<ソフトカーとあるく・銀座・ウィンのつどい>
も告知していただきました。
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以下記事転載
失った人は風となって
交通事故遺族の大学教授・小栗さんが絵本出版
交通事故などの、不慮の事出来事で大切な人を失った人たちの心に寄り添う絵本を、車と都市について研究する千葉商科大学教授の小栗幸夫さん(65)が出版した。
車優先の社会を変えようと、交通事故の遺族の人たちとの交流が執筆のきっかけになった。
絵本の題名は「ウィンの希望のものがたり」。
「とつぜん世界が消えた」子どもが、風になって父母のもとを訪れて寄り添い、「ありがとう、パパ、ママ、わたしはいつもあなたのこどもです」と語りかける。
小栗さんの専門は都市計画。歩道のない道を車が走り抜ける日本の街は「自動車交通が、人間の生活にしわ寄せをすることで成り立っている」と感じ、市街地などでは最高速度を制限できる「ソフトカー」の研究をしてきた。
小栗さん自身も、1997年に姉の妙子さん(当時59)を交通事故で亡くした。パート先に自転車で出かける途中、自動車にはねられたという。「車社会では、ちょっとした油断が、弱い人に被害をあたえてしまう」と話す。
絵本を書き始めたのは、2007年ごろ。交通事故の遺族らと交流するなかで、「亡くなった家族が風になって戻ってくる」というイメージを持っていることにヒントを得た。絵本にしたのは、「短い言葉と簡単な絵の方が、多くの人の心の中に、すっと入っていける」と考えたからだ。
数年かけて作品を練ってきたが、昨年の東日本大震災の惨状に、一時は出版をためらった。そんな時、宮城県石巻市で幼稚園の送迎バスが津波にのまれて長女愛梨ちゃん(6)を失った佐藤美香さん(37)と知り合い、昨年8月ごろに出版前の原稿を読んでもらった。
佐藤さんは「涙が止まらなかったが、風になって戻ってくると思うと、救われた気持ちになった。そういうひとがきっといる」と後押し、今年6月の出版につながった。
出版にあわせ、8日夕には、小栗さんが開発したソフトカー3台が、銀座を周回する企画もおこなわれる。最高速度を時速2~50キロに制限できる1人乗りの電気自動車で、時速2キロで1時間ほどで走る予定。
「街の中で、どれくらいの速度の車がふさわしいのか、考える機会になれば」と話す。当日は絵本の朗読などの集いも開かれる。 (三島豊弘)
転載終了。
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