『インディアンのティーチングストーリー
古井戸に落ちたロバ』
下記に書評を掲載致しました。
この絵本を読んで、それぞれ受け取ったメッセージ
の違いにあらためて自分も再読してみようと思いました。
ぱせりさんの書評
最後のページの美しいこと。ふりかえらない・・・それでいいのだと思います。それを爽やかに見送れるじいさまにわたしはなりたい。「おはなし」なので、いろいろな場面にあてはめていろいろな受け止め方ができる物語だと思います。
わたしは、ロバとじいさまに、親子の姿を思い浮かべています。
じいさまの姿に、私自身を重ねています。
どこに、わが子を進んで生き埋めにしたい、と願う親がいるか。
それはそうなのだけれど、
子に良かれと思ってしたあれこれが、
結果として、わが子を追い詰めてしまったり、
気がつかないうちに、芽を吹きかけていた大切な何かを踏みにじっていたり、
そういうことに、あとになって、はっと気がつくことも・・・確かにあった。
ああ、かわいそうなことをした・・・と苦い思いとともに。
ロバの姿には目を見張るものがあります。
不安に泣き、助けを求めるだけのロバでした。
でも、助かる希望を自分の力で見出すのです。力尽きて、絶望しかけたその場で。
そして、希望にむかって地道な努力を続けるのです。
誰に頼ることもなく、自分の力で。
暗がりのなかで、単調な仕事を黙々と繰り返し、努力し続ける姿を見れば、胸がいっぱいになってしまう。
いつロバ(子)は変わったのでしょう。
人に頼り切っていたのに。絶望しかけていたのに。もう駄目か、と思ったのに。
こうなってしまった自分を憐れみ、じいさん(親)を恨んで滅びていったかもしれないのに。
希望を創りだす力を人は持って生まれてくるのでしょうか。
ほんのちょっと気持ちを動かすだけで、物の見方が変わり、絶望が希望に変わることもあるのかもしれません。
それに気がついた時、子どもは自分のなかに、状況を変える力があることを知るのかもしれません。
子は振り返らない・・・それでいいのだと思います。
振り返らずに歩んでいってほしい。力いっぱい歩いていってほしい。
もう、親は、子の先に立って歩くことはありません。
パセリさんの他の本の書評はこちら→★
えちごさんの書評
著者(再話)は、北山耕平さん北米大陸を旅し、その出会いをきっかけにインディアンの精神や物語を学び、現在ネイティブ・ピープルに伝えられたストーリーテリングを広めていらっしゃいます。インディアンに伝わる神話をもとにした絵本(大型本・36ページ)
著者(再話)は、北山耕平さん北米大陸を旅し、その出会いをきっかけにインディアンの精神や物語を学び、現在ネイティブ・ピープルに伝えられたストーリーテリングを広めていらっしゃいます。イラスト・文は、obaさん。
お話は、としよりロバがじいさまに連れられてた時、深い深い古井戸に落ちてしまうんです。じいさまはとしよりロバを助ける方法が見つからず、涙をのんで、ロバごと古井戸に埋めることに決めるのです。
このままでは、子どもたちが今度は古井戸に落ちてしまうのですから。
一読後は、ただただ悲しさがありました。が、何度も読み返すごとに、「生きることはどういうことか?」読めば、胸に響く本です。どんなに時代が変わろうとも、私たちが生きていく上でのありようは、なにも変わらないのだと思います。
自分に起こる出来事は、しっかりと物事を見極めてふり払い、自分の足で固めていく。少しずつ少しずつ。何事も諦めずに・・・・。
絵本の最後のページは、文が一行あるだけです。生きるとはそのページの一文。そういうことかもしれません。
えちごさんの他の本の書評はこちら→★
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