こちらがびっくりするようなタイミングで起こった、大津市のいじめ事件。
もちろん、書籍作りは4カ月も前から準備してきたもので、まったくの偶然ですが、
本書でもいじめ問題に関して、Q&Aの
・Q8 娘が「○○ちゃんがいじめられている。と、言っています。先生に報告するべきですか?
・Q41 「いじめ」などの問題が表ざたになるとよく学校の閉鎖性が批判されますが・・・、
の2点で著者が答えています。
著書では、いじめについては、学校の姿勢が重要で、学校がいじめ防止の体制がとられているか、とられていないかで判断を分け、とられていない場合どうすればよいのか具体的にアドバイスしています。
さらにQ41では、いじめは学校だけの問題ではなく、学校、保護者、地域住民の一体となって取り組む必要があるとアドバイスしています。
いじめ問題だけでなく、学校とは子どもたちが何を学ぶべきところなのか、根本的なことを知ることが、自分の子どもを安心して通わせられる第一歩だと考え、本書はつくられました。
そして、保護者からのアンケートや聞き取りによって、多くの保護者が心配していること、疑問に思っていることを、より具体的にアドバスできるようにしています。
さらに肝心なのは、答える側、著者の考えです。
著者の加地先生は、元犬山北小学校の校長先生で、「子どもが主人公の学校ずくり」を実践されて、その行動は、PTAや教育員会までも変えるという非常に素晴らしい功績をつくり、その当時、新聞やテレビでも大々的に紹介された実績をおもちです。
その実践は、
・校長室を廃止して「語らいの部屋」をつくる
・少人数制学級のために教室の壁をぶち抜く
・NPOと連携して、独自の支援体制をつくる
など、当時まだ誰もやったことないことを、「子どもたちのために」と、どんどん実践されてきた方です。
また、巻頭では、
尾木直樹先生と武田邦彦先生をゲストに迎え緊急対談を掲載しております。
尾木先生は、ご多忙でほとんどすべての対談を断っている中、加地先生ならばと、今回の対談を快く引き受けてくださりました。
また、武田先生とは中部大学でともに教壇に立つ同士として、福島の原発事故以来、子どもたちが大人の社会に対して不信感を持ってしまうことを憂い、これからの日本の教育について、意見を交わしています。
どちらの対談も、教育論という小さな枠組みから脱し、日本の未来に向けて伝えなければならない大切なメッセージです。
小学生の保護者の方だけでなく、先生方や、学校教育に関心のある方々に、ぜひ読んでいただきたい一書です。
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